１　配転や人事異動は，どうすればできるのか

配転や出向などの人事異動は，就業規則や労働契約で適切に規定をしておけば，基本的に使用者の判断で行える余地の広いものです。逆に言えば，個別の労働契約で配転を制限しているような場合や，就業規則や契約に出向に関する定めがないような場合には，そもそも配転や出向を命じることができない場合もあります。
近年では，勤務場所等を限定したいわゆる「限定正社員」という制度が広まっていますが，そのような社員に対しては，そもそも契約の定めを超えた配転を一方的に命じることは不可能でしょう（もちろん，本人との合意があれば別ですが，その合意は労働者に断る自由がある状況の下で得なければ意味がありません）。

２　制限はあるのか

しかし，だからといってどんな人事異動も許されるわけではありません。たとえば，懲罰目的の人事異動や差別的な人事異動はもちろん許されません。また，近年ではワークライフバランスの考えが広まっており，使用者としては従業員の生活上の事情（子育てや介護など）にもある程度配慮しなければなりません。
目的が不当であったり，必要もないのに配転による不利益を与えることは，権利の濫用として許されない場合があります。

３　ご相談ください

配置転換を行いたいが不安がある，配置転換や出向について従業員や組合と争っている，そのようなお悩みがあればぜひご相談ください。法律や実際の紛争解決を知る弁護士に相談することが，紛争の予防や早期解決には有効です。