市街地再開発組合による再開発では,デベロッパー等ではないが,再開発ビルへの入居を予定しているという方もいるかと思います。その場合,再開発組合から保留床(元の地権者等に割り当てられない区画)を売買契約により購入する方法のほかに,市街地再開発組合の参加組合員となり,保留床の代金に相当する負担金を支払うという方法があります。
①メリット
事業計画についての意見提出が可能となるなど,組合員として運営に参加できることがあげられます。ただし,組合運営における投票権は,拠出した資金の大小にかかわらず1票にとどまるので,その点については留意が必要です。
②デメリット
建物建築前といった早い段階で負担金の支出が求められる,自らの意思のみで組合を脱退できない,事業全体について組合員と同様のリスクを負うことがあげられます。
リスクとしては,具体的には,事業が資金的に行き詰った場合等に,組合の決定に基づく分担金を拠出することとなる可能性があることがあげられます。例えば,岡山地裁平成17年11月1日判決(アルネ津山の再開発に関する訴訟)は,組合の債務の整理のために,組合員にのみ賦課金が課せられ,参加組合員に対しては分担金が課されなかった事案です(訴訟では,そのような賦課金の賦課に関する組合の総会決議の効力が問題となりました)が,組合の意思決定によっては,参加組合員にも,組合の債務の整理等や赤字の解消等のための負担が求められる可能性もあるということになります。