<典型例>
賃貸人が賃料の増額を求める場合、賃借人がその増額に応じれば問題はありません。賃借人が賃料の減額を求める場合に、賃貸人がその減額に応じる場合も同様です。
しかし、両者が賃料の改訂(増減額)に合意できない場合があります。
<典型的な解決方法>
このような場合、一般的には、まずは、内容証明郵便等により、値上げ(又は値下げ)をすべき金額とその開始時期を明示して、賃料の増額(減額)請求をします。
これをきっかけに、賃貸人・賃借人が話合いをし、話がまとまれば、新賃料の額を合意した書面を作成し、以後、賃借人が賃貸人に対し変更後の賃料を支払うことになります。
しかし、話合いがまとまらない場合は、最終的には裁判所にその判断を求めざるを得ません。
裁判所の手続としては、賃料増減額請求については、「調停」手続から始めることとされています(調停前置主義・民事調停法24条の2)。
調停委員には、不動産鑑定士なども選任されることがあり、相当な賃料額について専門的な立場からのアドバイスを得られる場合もあります。
次に、調停が成立しない場合(調停条項の裁定については機会を改めて説明します。)は、裁判所に対し、賃料増減額確認請求訴訟等を提起して、裁判所の判断を仰ぐこととなります。
なお、裁判で正当とされる額が確定するまでの間も、賃借人は、不払いを継続することはできません。賃料滞納を継続すれば賃貸借契約自体を解除されてしまいます。このような場合、賃借人は、「供託手続
をとって、一応賃料支払義務の債務不履行という事態を回避いたします。
なお、正当な賃料額からかけ離れた自分自身の考えを固持し続けますと、後に正当な賃料に不足した額、正当な賃料よりも過剰に受領した額に、年1割の利息を付けて返還しなければならなくなりますので(借地借家法11条2項、3項、32条2項、3項)注意が必要です。