解雇を行ううえでは,法律,裁判例によるさまざまな制約を乗り越える必要があります。
●社員側の事情で解雇する場合
まず,職務上の問題行動や能力不足など,労働者側の事情を理由に解雇する場合には,「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合」にあたらないことが必要です。具体的には,労働者側の事情がどれだけ重大なものか,ほかの事例とのバランスが取れているか,解雇以外の手段で問題解決はできないのかなどのさまざまな事情が考慮されます。いずれにせよ,解雇を行うことのハードルは決して低くありません。
●懲戒解雇をする場合
労働者の不品行を理由として懲戒解雇をする場合には,まず,就業規則上懲戒解雇が可能か否かを確認する必要があります。そして,就業規則上懲戒解雇できる場合でも,通常の回顧と同様,「社会通念上相当か」も検討しなければなりません。例えば,より軽い懲戒処分で済ませることができないかなども検討すべきです。
●リストラをする場合
また,企業の経営上の都合による解雇(リストラ)を行うには,判例上①解雇を回避する努力(配置転換,退職勧奨など)を十分行ったか②経営状態が,リストラを必要とするようなものか③従業員,組合への説明・交渉は十分か④人員選択は合理的か,という事情が考慮されます。労働者側の事情を理由とする場合よりかなり難しいということは覚悟しなければいけません。
●もし解雇が無効とされた場合
もし,労働者が解雇が無効であると裁判等で主張し,それが認められた場合,労働者を職場復帰させるだけでなく,解雇してから復職するまでの給料等も支払う必要があります。また,解雇が著しく不当な場合には,慰謝料等を請求される可能性もあります。
●ご相談ください
このように,解雇が違法とされることのリスクは大きい一方,解雇を適法に行うためにはさまざまな事情を考慮する必要があります。そのため,解雇を行ううえでは先例,裁判例や紛争となったときの手続き進行を知る弁護士に相談することが安全といえます。また,解雇など人員整理をめぐって従業員と紛争になった場合も,満足のいく解決のためには弁護士への相談がきわめて重要です。ぜひ一度ご相談ください。