市街地再開発事業においては,地権者,借地権者,建物所有者が,市街地再開発組合の構成員等の主体となることが多く,借家人については,個別の同意等は想定されていません。
借家人の権利は,以下のような形で保護されます(市街地再開発組合が施行者となる場合を想定しております)。
① 事業計画や権利変換計画の縦覧にあたり,意見書を提出できます
② 建物の賃貸人が転出しない場合には,再開発ビルの賃貸人が取得する箇所に,借家権が移行します。その場合,借家条件については当事者間で協議して決めることとなりますが,協議が定まらない場合は,当事者の申立により市街地再開発組合が裁定し,裁定に不服がある場合には,賃貸借契約当事者間での訴訟により条件変更を求めます。
③ 建物の賃貸人が転出するが借家人は転出を希望しない場合には,市街地再開発の保留床に借家権が移行します。
④ 借家人が再開発ビルへの移行を希望しない場合には,市街地再開発組合設立の公告後に組合にその旨申し出たうえで,借家権の消滅及び移転等についての補償を受けることになります