遺産分割協議・調停

1 弁護士が受任する場合の関与方法

 遺産分割事件について,弁護士が受任する場合の方法としては,事案によって,家庭裁判所以外の場での解決を模索する場合と,家庭裁判所での手続(調停・審判)のなかで解決方法を模索する場合との2つがあります。

2 家庭裁判所以外の場での遺産分割協議

 たとえば,弁護士が,他の相続人やその代理人等と交渉を行い,遺産の分割方法等が決定すれば,「遺産分割協議書」を作成する形で,家庭裁判所以外の場で合意に至るという形となります。特に,当事者全員が早期解決を希望している場合や,それぞれが希望する遺産の分割方法に極端な差異がない場合には,この方法を用いることが一般的です。

 一例ですが,相続税の申告期限内(相続の発生日から10か月)の解決を目指したい場合で,相続人全員がその共通認識を有している場合,家庭裁判所の手続きを利用する場合,時間を要することが多いため,こうした方法が用いられることが一般的といえます。

3 家庭裁判所の遺産分割調停

 家庭裁判所における遺産分割事件は,基本的には,調停事件から開始します(調停前置主義)。家庭裁判所の調停事件の特徴は,裁判所の調停委員の関与のもと,双方が対面しない形で,同一期日に交互に出頭し,調停委員を通じた話し合いの中で,遺産分割方法等についての合意を模索することになります。法律上,弁護士を代理人とすることが義務付けられている訳ではありませんが,近年,各当事者に代理人が就いている事例が増加していると思われます。