不動産競売(抵当権の実行)

1 債権回収が滞っている場合、抵当権を有している債権者は、不動産競売の申立てを行う方法により債権回収を図るのが効果的です(※1)。

※1 抵当権を設定している物件が賃貸物件である場合は、物上代位による賃料の差押を行うことも有効です。

2 債権者の側としては、不動産競売を申し立てた以上、全額の債務弁済か、こちらが許容できる額の頭金の支払いと今後の分割弁済合意、及び申立費用の支払いを受けた場合しか、申立てを取り下げないという強いスタンスで交渉を行うのが通常です。

3 競売申立手続が進行しますと、債権者の意思のみでは申立ての取り下げができなくなりますので、この時間的な限界が設定されていることも回収を早める要因となりえます(※1)。

4 不動産競売申立てが、債務者の側で任意売却を進める契機となる場合もあります。

5 債権回収が難航している場合は、ご相談ください。

 ※1 不動産競売手続の基本的な流れは次のとおりです。

① 競売申立

② 裁判所が競売手続開始決定をして、担保不動産を差し押える(差押え登記)

③ 裁判所が現況調査命令、評価命令を出す。

④ 執行官が現況調査を行い、不動産鑑定士が不動産価格の鑑定を行う。

⑤ 裁判所が売却基準価格を決定する。

⑥ 入札の実施

⑦ 売却許可決定をする

⑧ 買受人が代金納付をする。

⑨ 配当が実施される(終了)

上記⑥の入札において買受け申出がされますと、最高価格申出人及び次順位買受申出人の同意なくしては取り下げができなくなります。

上記⑦の売却許可決定後代金納付までの間も、買受人の同意なくしては取り下げができません。

⑧の代金納付後は、取り下げはできません