婚姻費用分担義務の有無が問題となる場合として、権利者に別居または破綻の原因がある場合が挙げられます。
この点、別居に至った原因がもっぱら又は主に権利者に存する場合は、婚姻費用の分担義務は減免されるというのが、従来の多数の裁判例の立場です(根拠:信義則)。
そして、このような考え方自体は、いわゆる標準算定方式のもとでも基本的には妥当すると考えられます。
しかし、調停ないし審判の場において、婚姻費用分担の問題は、簡易・迅速に解決をはかろうとする傾向があり(※)、そのため、権利者に一方的に有責性があることが当事者尋問等で直ちに判断できるような場合以外は、双方の有責性はほぼ等しいとして扱うという扱いが行われているように思われます。
※ 離婚調停と婚姻費用分担調停は同時に協議される場合が比較的多いですが、調停の進行としては、まず婚姻費用の問題についてやや集中的に協議をし、この部分のみ調停ないし暫定合意を成立させて、その後じっくりと離婚問題を協議するという流れとなる場合が多いです。