被害者請求とは
加害者から賠償が受けられないような場合に、被害者が加害者の加入している自賠責保険に直接請求することを被害者請求といいます。
損害額が確定する前であっても、被害者請求は可能です。
被害者請求の期間
事故があった日の翌日から3年以内です(※1)ただし、死亡の場合は死亡日の翌日から、後遺障害の場合は後遺障害の症状が固定した日の翌日から、それぞれ3年(※1)以内となります。※1 ただし平成22年3月31日以前に発生した事故については、2年となります。
被害者請求の有利である点
過失相殺の運用において、被害者に有利な扱いがされています(※2)
また、因果関係の認定においても、被害者に有利な扱いがされています(※3)。
※3 被害者が既往症等を有していたため死因または後遺障害発生原因が明かでない場合など、受傷と死亡との間及び受傷と後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難な場合は、死亡による損害及び後遺障害による損害について、積算した損害額が保険金額に満たない場合には積算した損害額から、保険金額以上となる場合は保険金額から、5割の減額をした上で支払扱いをしています。
訴訟提起をする場合であれば印紙代金の節約にもつながります。
後遺障害とは
後遺障害とは、治療を継続してもこれ以上は良くならないという状況に至ったときに(症状固定といいます)なお残った、回復困難と見込まれる「精神的又は身体的な毀損状態」のことをいいます。
後遺障害等級には、重い順に、1級から14級までが認められています。
後遺障害の認定手続の種類
後遺障害に対する自賠責保険の給付を受けるためには、「損害保険料率算出機構」の自賠責損害調査事務所による等級認定を受ける必要があります。この認定を受けていれば訴訟でもその認定を前提にした請求をすることができ、立証が容易です。
認定手続にも、加害者が任意保険に入っている場合に加害者側の保険会社を通じて行う事前認定と、被害者の直接請求によってなされる認定があります(被害者請求の中で行う認定)。
保険会社を通じて手続を行えば楽ですが、認定等級が微妙である場合には、被害者請求をし、提出資料についても自ら準備をした資料を添付して認定申請をするメリットがあるため、被害者請求を行う場合があります。なお、その場合協力医の意見書等実費が必要となる場合があります。
後遺障害の認定を受けるための必要書類等
次のような書類が必要となります。
・後遺障害診断書
・診断書、診療報酬明細書、事故発生状況報告書
・あればレントゲン写真、MRI、CT等のフィルム
これらの他、被害者請求をする場合は、
・保険金・損害賠償額支払請求書
・代理人による請求の場合は実印を押印した委任状と印鑑証明書
・交通事故証明書
・事故発生状況報告書
などが必要です。
異議申立手続について
損害保険料率算出機構の認定に不服がある場合は、異議申立を行います。
異議申立書については特に決まった方式はありませんが、とにかく異議申立の理由の充実が重要です。例えば追加資料として、より詳細な医師の診断書や意見書、被害者本人等作成の日常生活状況報告書、新たに再検査を受けた結果を示す資料等を提出することが考えられます。
なお、既に認定された等級が異議申立により下がることはありません。