結婚後に父から相続した株が離婚までの間に値上がりしていました。これも財産分与として相手方に分けないとならないのでしょうか。

Q 結婚後に父から相続した株が離婚までの間に値上がりしていました。これも財産分与として相手方に分けないとならないのでしょうか。

A 財産分与の対象は、婚姻中に夫婦の協力で形成した財産ですので、お父様から相続した株式それ自体は財産分与の対象とはなりません。それでは、結婚期間中に値上がりした部分は、財産分与の対象になるのでしょうか。

 さきほど述べた財産分与の対象についての考え方からすると、株式の値上がりに関して、他方配偶者が協力・寄与をしたといえるかが判断の分かれ目になります。たとえば、お父様から譲り受けてから一切売買等をせず、ただ置いていたら値上がりしていたというような場合、そこに相手方の関与は全くないでしょうから、増加分は財産分与の対象とはならないでしょう。

 他方で、相続した株の運用を相手方に任せていたような場合であれば、運用によって価値の増加が認められたのであれば、そこには相手方の協力・寄与があるとみることができ、財産分与の対象とすべきとも思われます。

 とはいえ、相手方の何気ない一言で運用(売買)をしたところ、その後に値上がりしたという場合はどうかなのか、逆に損失が出た場合にそのマイナスを夫婦共有財産に転嫁させて良いのか等、難しい問題もあります。事案に応じて適切な主張を組み立てる必要がありますので、一度弁護士にご相談ください。