Q 特有財産であることは、どういった証拠で証明すれば良いのでしょうか。
A 民法762条の2項は、「夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する」と定めています。そのため、仮にあなたが、財産分与の対象とはならない「特有財産」があると主張したい場合、その証明はあなたがすべきことになるのが原則です。たとえば、あなたがご両親から金銭の贈与を受けていたり、夫婦の自宅を買う際にご両親に頭金の一部を出してもらっていたりした場合、これらの事実はどのように証明すれば良いのでしょうか。
まず、金銭の贈与を受けていた場合は、その贈与がされた預貯金口座の送金履歴で証明することが端的です。すなわち、ご両親の名義の口座からあなたの名義の口座宛てに、贈与金の送金がなされていることが分かる通帳履歴を示すことになります。履歴上、ご両親からの送金とあなたの口座への着金の金額や日付が、贈与金を受けた金額や日付と一致(あるいは近接)していれば、通常は贈与を受けたと言えるでしょう。
しかし、贈与が口座送金ではなく現金手渡しで行われていたり、ご両親が支払先(不動産の買主側)に直接あなたの名義で送金していたりした場合は、預貯金口座の履歴から贈与や援助を証明することができません。その場合には、関連するメールのやり取りなど他の証拠がないか検討する必要があるでしょうし、また、当時の夫婦の預貯金から贈与金の金額が形成できたのか、自宅購入の頭金を拠出することができたのか、といった事実から証明を行うことになります。たとえば、結婚後早い時期に自宅を購入している場合には、婚姻後の夫婦の所得だけでは頭金の金額を捻出できないという事情があれば、それは有力な事実となるでしょう。