夫の名前(名義)で契約していた保険は、財産分与の対象になりますか?

 保険契約のうち、いわゆる「掛け捨て」型の医療保険など、満期になったり・解約したりしてもお金が戻ってこない(返戻金が発生しない)ものについては、財産性・資産性がありませんので、財産分与の対象にはなりません。

 他方で、貯蓄性のある生命保険や年金保険、学資保険といった保険契約は、満期時や解約時にお金が支払われるため財産性・資産性があるといえ、財産分与の対象となります。

 財産性・資産性のある保険契約について財産分与の金額を計算するにあたっては、離婚時(別居が先行している場合は別居時)の解約返戻金相当額を、名義人である夫の財産として夫婦共有財産に計上し、他の財産と併せて分与額を計算することになります。

 ただし、財産分与の対象は、「結婚(婚姻)中に夫婦で築いた」財産ですので、婚姻から離婚(別居)までの間に、夫婦で稼いだお金で保険料を支払った期間分だけが、財産分与の対象ということになります。すなわち、婚姻よりも前に、夫婦のどちらかが支払っていた保険料がある場合には、その支払期間分は財産分与の対象とはなりません(保険料を支払った者の「特有財産」(財産分与の対象から除き、一方配偶者の固有の財産とされるもの)となります)。

 以上のとおりですので、夫婦のどちらかが契約した、財産性・資産性のある保険契約がある場合には、離婚(別居)時の解約返戻金額を確認の上、その金額から婚姻前に夫婦の一方が保険料を支払った期間分を差し引いて、財産分与の対象に挙げることになります。