Q 成年後見を申し立てた場合、どのような人が成年後見人に選ばれるのでしょうか。
A 親族が選ばれる場合と、弁護士などの第三者が選ばれる場合があります。
成年後見を申し立てる場合、自身や親族等を「成年後見人候補者」とすることができます。もっとも、「成年後見人候補者」が必ずしも後見人に選ばれるわけではなく、弁護士や司法書士等が選ばれることもあります。
申立ての際に「成年後見人候補者」を指定したにもかかわらず、第三者である弁護士などが成年後見人とされる場合としては、主に、以下のケースが考えられます。
1 親族間において意見の対立がある場合
後見を開始すべきか、誰を後見人とすべきか等について、親族間で意見が対立している場合には、中立的な第三者が後見人に選任されることが多いといえます。
これは、特定の親族のみが後見人となって本人の財産を管理するようになると、将来の法的紛争を招くおそれがある以上、中立的な後見人を選任して、本人の財産を適正に管理する方が望ましいと考えられるためです。
2 後見人候補者と本人との間で利害が対立している場合
たとえば、後見人候補者と本人との間で、多額の貸金や立替金を精算する必要がある場合には、これを中立的な第三者に委ねることが相当と考えられます。
また、後見人候補者と本人との間で遺産分割協議を行う必要がある場合、両名の生活費が十分に分離されていない場合なども、第三者が後見人に選任されることがありえます。
3 財産が複雑、または不明瞭である場合
本人の財産が多額に上る場合や、財産状況が複雑である場合などには、財産を管理すること自体に、一定の専門性が求められるといえます。そのため、このような場合には、専門家が後見人になることが望ましいと考えられます。
また、本人の財産状況が不明瞭である場合にも、専門家が後見人として選任される傾向にあります。これは、本人の財産を調査するには一定の専門性が要求される上、判明した財産次第では、その管理にも専門性が求められるためです。