個別外部監査

 地方自治法第252条の39は、「(地方自治法)第七十五条第一項の請求に係る監査について、監査委員の監査に代えて契約に基づく監査によることができることを条例により定める普通地方公共団体の同項の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、同項の請求をする場合には、併せて監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めることができる。」と定めています。

 同条は、個別外部監査契約に基づく監査で、地方自治法第75条第1項に規定する事務の監査の請求に係る個別外部監査について定めたものです。他の個別外部監査(地方自治法第252条の40:議会の請求に係る個別外部監査、地方自治法第252条の41:長からの要求に係る個別外部監査、地方自治法第252条の42:財政的援助を与えているもの等に関する長の要求に係る個別外部監査)についても、その請求又は要求の主体に応じて若干の差異は設けられているものの、同条が基本とされています。

 包括外部監査は、「特定の事件」の選択が外部監査人に任されており、また外部監査人は外部の立場から監査をするためテーマを選定する段階ではどこにどのような問題が存在するのかを明確に意識することが困難であることから、幅広なテーマを選定しがちであり、また、問題の核心に焦点を当てた監査を行うことが困難となりがちです。
これに対し、個別外部監査の場合は、既に監査すべき事件が請求者や要求者によって選択されているため、必ず問題が存在するのであり、当初から、その所在、問題意識をもって監査に当たることができるというメリットがあります。
 
 通常監査委員が行うべき監査を、個別外部監査によることが相当であるかどうかについては、議会、監査委員が判断する必要がありますが、個別外部監査には、テーマに応じて弁護士、公認会計士といった専門家のチームが集中的なマンパワーを投じて監査を行うことができるというメリットがあるといえます(ただし、議会に付議された場合に否決されないような場合にあたるかどうか、当該地方公共団体における必要性が十分にあるのかは、検討が必要であると存じます)。
議会が可決した場合、個別外部監査契約を締結することになりますが、この契約の締結についても、あらかじめ監査委員の意見を聴く(合議による)とともに、議会の議決を経なければなりません。

 なお、包括外部監査人と個別外部監査契約を締結する場合は、一定の条件を満たせば契約に関する議決は必要ないとされています(地方自治法第252条の39第10項)。