国家賠償法は「公務員が,故意または過失によって違法に他人に損害を加えたとき」(第1条),または「道路,河川その他の公の営造物に瑕疵があったとき」(第2条)という要件に該当するとき,国又は地方公共団体は,その損害が生じた者に対して賠償義務を負うことになります。国家賠償法は、公務員の行為により、私人に損害が生じた場合、それを賠償しなければならないと定めるものです。そこには,これまでの裁判例の膨大な積み重ねがあり,個別の事件類型ごとに,判例法理といったものが形成されています。
地方公共団体にあっても、日々の業務の中で私人に対して生じた損害についての賠償に関する事案を取り扱っておられるものも多いと思われます。そうした中には,公務員の運転する公用車による自動車事故のような,比較的,私人間の紛争に類似した係争類型もあります。また、公務員が、行政処分を典型例とする特殊な行為を行ったことについて、その違法性や過失の有無が問題になるような紛争類型もあるかと思われます。こうした国家賠償法に関する賠償問題についても、全てが訴訟に至るわけではなく、訴訟前の交渉段階において、一定の方針を確立され、それに基づいて賠償への対応がなされることも多く見受けられます。