申請に対する処分

1 申請に対する処分とは
行政手続法2条3号では,「法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(以下「許認可等」という。)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているもの」が「申請」とされています。
 そして,この「申請」に対し,求められる処分をするかしないかの手続きには,原則として行政手続法が適用されます。そのため,多くの営業・行為等の許可に関する手続きや,社会保障給付等で,行政手続法が適用されるかと思います。
なお,自治体の条例に基づく,申請に対する処分には適用がありませんが,多くの自治体では,行政手続法と同旨の行政手続条例を制定していると思われるため,以下,行政手続法が適用されることを前提に解説します。

2 手続的問題点
(1)申請前の指導
申請をしようとする者の求めに応じ、申請書の記載及び添付書類に関する事項等,申請に必要な情報の提供に努める必要があります(行政手続法9条2項)。

(2)申請の意向や,申請書の提出等に対する対応
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければなりません。そして,申請書の記載等の申請内容が,法令に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請者に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、又は当該申請により求められた許認可等を拒否しなければなりません(行政手続法7条)。
すなわち,申請が形式上の要件を満たすにも関わらず,何らかの理由で申請を「返戻」等してなかったこととすることは原則として許されません。

(3)審査中
審査は,行政庁において,申請内容等から事実関係を認定した上で,法令に基づき,法令上の許認可等をすべきか,すべきでないかを,判断することになります。
 この点,法令上の判断については,多くの行政庁では,審査基準(行政手続法5条)を制定していることかと思いますが,これと異なる判断を合理的理由なくすることは原則として許されません。

また,申請内容によっては,直ちに許認可の判断をするより,取下げ等を求めたい場合もあるかと思います。しかし,申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、申請者が当該行政指導に従う意思がない旨を表明したにもかかわらず当該行政指導を継続すること等により当該申請者の権利の行使を妨げるようなことをしてはなりません(行政手続法33条)。

(4)許認可ないし拒否
許認可を拒否する場合には,理由を示す必要があります(行政手続法8条)。

3 実体法的な問題
これについては,個別の法令に基づく検討が必要になるかと思います。