不利益処分

1 不利益処分とは
 行政手続法2条4号では,「行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分」で,同法所定の例外(申請に対する処分等)に該当しないものを「不利益処分」と称しています。例えば,営業の停止や禁止,撤去・改修等の工事等の実施の義務付け等があてはまります。

2 実体法的な問題
 不利益処分では,裁量がある場合には,裁量の逸脱濫用(行政事件訴訟法30条)がないよう留意する必要がありますが,これには,法令の適切な解釈だけでなく,事前の調査や相手方の資料等をふまえた,適切な事実認定も必要です。そのためにも,事前の調査や,処分の相手の主張の確認等が必要です。

3 手続的な問題
 国の法令に基づく処分で行政手続法が適用される場合,原則として,行政手続法に沿って,「聴聞」または「弁明の機会の付与」の手続きが必要です(行政手続法13条)。
 また,不利益処分をする際には,理由を明示する必要があります。この点,理由明示の程度は,法令や処分基準を踏まえて個別の処分ごとに異なってきますが,処分基準が詳細な場合は,処分基準をどのように適用したかわかるような理由付けが必要です。